第1章 序章
「…ねぇ、それって高橋が使うんだよね?」
「え?なんで?」
「いや、髙橋用に作ったから。」
高橋は一瞬間を開け、ニカっと笑った。
「あぁ、俺が見るだけだよ。外部には渡す予定はない。」
「そ。よかった。最近高橋ここにいないこと多いじゃん?」
「そうか?」
「だから、もしかして公安の何か秘密の捜査で出かけてんのかなーって思って。」
「…いや。ないよ。」
「まぁ、もしあったとしても言えないよね!とにかく!それは髙橋専用だからね!」
「りょーかい。」
高橋はUSBの入った胸ポケットをポンと叩き、手を振り出て行った。
高橋はしょっちゅうこの公安部の部屋から出て行くことが増えていた。
公安なのだから、それぞれみんなが何の捜査をしているのかなんて把握はしていないし、言えないことがほとんどだろう。
今回高橋に頼まれた爆弾事件の資料を時系列順に並べたり、過去の似たような爆弾装置を集めたり、過去の犯人達の性格年齢性別にも分けて、いくつかにリスト化して渡した。
資料の最後に
『公安ならこのくらい自分で作れバーカ!』
と、一言添えて。
後でパソコンで開いて、むっとしてる高橋の顔を想像しながら私はにやにやと笑った。
もちろん私はこの時はこの資料は高橋しか見ないと言う高橋の言葉を信じていた。
「君が夏目めぐみか。」
「むっ?」
数日後、栄養バーをくわえ、パソコンと向き合っていると眼鏡をかけた男性が私の横に立っていた。
私でも知っている公安部の警部補風見さんだ。
私の大先輩であり、上司だ。
とても優秀で警察庁のゼロと仕事をしているという噂を聞いたことがある。
そんな人が私に何の用だろうか。