第31章 お手伝い
降谷さんとの電話を終え、寝る準備のため歯磨きなどして布団に向かっていた。
明日は朝からポアロだ。
実家でも手伝ったことはあるが、接客業は初めてなので、少し緊張する。
が、お客さんはマスターの知り合いの結婚式の二次会の人たちだし、多分大丈夫だろう。
ふぁ…
「大きなあくびだな。」
「…っっ!?」
寝室に入ろうとドアノブに手をかけた瞬間、玄関の方から声がして心臓が飛び出るかと思った。
「んなっ!?」
「なんでここにいるかって?合鍵もってるからな。」
「いや!そうじゃなく…!なにして…!」
なんで、降谷さんがいるのか。
「会いたいかと思って。」
「……っ!な、なにしてるんですか…!」
「会いにきた。」
「そうじゃなくて…!」
玄関で靴を脱ぎ、ゆっくりこちらに向かってくる降谷さんを驚いた顔で見ることしか出来なかった。
いまだにスーツ姿の降谷さん。
今まで仕事をしていた証拠だ。
「会いにきた。」
寝室の扉に背を向け、近くに来た降谷さんを見上げた。
お互い同じ言葉を繰り返している気がする。
「…確かに……会いたかったですけど、それ以上に休んで欲しいです。休める時間は限られてるんですから。」
「あぁ。休むつもりだ。」
私の後ろの寝室を開け、私を押し込んだ。
「ちょ…っ!」
「一緒に寝よう。そうしたら休まるから。」
ぐいぐいと押し込み、ベッドまで来てしまった。
「ハロは!?」
「もう終わらせてきた。」
さっきの電話の後に、ハロのご飯やトイレのお世話など全部終わらせてきたというのか。
「…法定速度守りました?」
「公安はやらなくてはならないときがあるんだ。」
私はぽすっと自分のベッドに座り、くくっと笑う降谷さんを見上げた。
ーー…これは本当に寝るだけか?
「今、降谷さんがやなきゃいけないのは、寝ることです!はいっ!」
このままじゃ食われると思って私は先手を打った。
降谷さんの上着を脱がせて、クローゼットの棚の奥から大きめのスウェットを取り出し手渡した。