第31章 お手伝い
すりすりと満足いくまで甘えていると頭を優しく撫でてくれた。
「忙しそうですね。ハロちゃんのお世話、するから言ってくださいね?」
「いや、大丈夫だ。」
降谷さんは自分ですると決めたらきっと最後までやり切る人なんだろう。
犬の世話なんて忙しい降谷さんには難しいけれど、飼い始めた時にきっと自分でできる時はやると決めたに違いない。
ーー…すごいな。
「めぐみに他のことを頼みたいんだ。」
「…?」
降谷さんの胸に頬を寄せていたが、顔を上げ降谷さんを見た。
「ちょっと困ったことになってな。」
「困ったこと?」
「明日の午前中ちょっと手伝ってもらえないか?」
「はい。もちろんです。」
何を手伝うのかはわからないが、上司の頼み事を断るわけがない。
頼み事というより、もうほぼ命令だと思ってる。
それに合わせてスケジュールを変えないと。
と、明日のやることを頭で思い出していると、ムニっと降谷さんにキスをされた。
「…っ!給湯室です!」
「抱きついてきたくせに?」
「〜〜〜っ!」
私は慌てて降谷さんから手を離した。
「ついです!つい!」
「あぁ、僕もついキスした。」
ふっと鼻で笑う上司を私は睨みつけた。
「で!明日は何を?」
「後で追って連絡をする。」
詳しく説明することなく降谷さんは給湯室からさっさと出て行った。
ふぅ。
本当にいつもいつもちゃんと口にしない人だな。
言わなくてもわかるだろ精神かもしれないけれど、わかるわけない。
私は上司の文句を頭で言いながら、給湯室を出ようと振り返るとそこには1人の女性が立っていた。
「…ぅわぁ!」
「ここで何をしていたの?」
「ロ、ローラさん…!」
「…降谷さんの後ろ姿がチラリと見えた気がしたんだけど?」
「あっ…さ、さっきまで仕事のことを話して…ました……。」
どっどっどっどっ。
心臓が爆発しそうだ。
何かを探るように背の高いローラさんは私を見下ろし目を細めた。