第5章 デート
次の日自分の仕事を終わらせてから、風見班の地下の部屋に向かうと降谷さんもちょうど喫茶店での仕事を終えて来たようだった。
パーカー姿だ。
執務室へと入っていく降谷さんの後をついて、私も入ると高橋だけがパソコンに向かって座っていた。
「あれ?おふたり一緒ですか?」
「ううん、今偶然一緒になっただけ。」
降谷さんに渡したい資料があったので、私はすぐに彼の席に持って行った。
「以前頼まれたリストです。あと…昨日はありがとうございました。」
「いや。」
私の方を見向きもせず、資料を受け取り返事をする降谷さんの右手には私が彼氏…元カレのために買った少し高いペンが握られていた。
ーー…使ってくれるんだ。
意外だなーなんて考えながら、私は自分の席に戻り、今度は風見さんに言われた資料を作成していく。
「なぁ。」
「んー。」
コーヒーを飲みながら、話しかけて来た高橋に適当に返事を返す。
「お前さ、可愛い女子の友達いねぇ?」
「私の友達はみんな可愛い子じゃい。」
「俺の女友達がさー、合コンするんだけど女子が1人足りないから誰かいないか聞かれたんだよ。めぐみの友達で誰か行きたいやついねぇの?」
背もたれにぎぃっともたれながら聞かれて私は目を輝かせた。
「じゃあ、私行ってもいい!?」
「はぁ?お前彼氏いるじゃん。」
「昨日別れた!」
「…お…おん。そんなすぐでいいならじゃあ、くる?」
「行く行くー!」
ウキウキとキーボードを叩いていると、ダン!っと急に大きな音がして私は驚いてる肩を揺らした。
「夏目。」
「は、はいっ!」
いつもより低い声で降谷さんに呼ばれ私はすぐ立ち上がり駆け寄った。
「もう一つの資料は?」
「えっ、あれは三日後の会議に使うと聞いたので、まだです。」
「会議の前にみたい。すぐ作れ。」
「…で、でも風見さんの……」
「すぐ作れ。」
「はい。」
風見さんに頼まれたやつのほうが先に作った方がいいのに。と、言いたかったが、私は降谷さんをこれ以上怒らせたくなくて頷いた。