第28章 ヒミツの関係
「よ。降谷さん、病み上がりだってのにフルスロットルだな。」
「…いつも通りでしょ。」
「お前はもう身体は万全なのか?」
「私は全然。貧血気味なだけだったから。降谷さんの方が大変だと思うよ。」
手に持った資料をひとつひとつ棚に戻しながらそう言うと、高橋が缶コーヒーを飲み干し資料室に入ってきた。
そして、私に一つコーヒーを手渡してくれた。
「上司に輸血ってなんか不思議な感じだな。」
「その場に私しかいなかったんだから仕方ないよ。私の血なんかで申し訳ない。…どうしよう。あの降谷さんが仕事ミスし始めたら。私の血のせいかもしれない。」
「ははっ。んなことないだろ。」
高橋は私の手元の資料を黙ってとってくれて、一緒に片付けてくれた。
「ありがと。」
「一応めぐみも病み上がりなんだから、無理すんなよ。」
「うん。」
最後の資料も高橋が戻してくれて、ありがたいなって彼を見上げていると、資料室のドアが開き、そこには降谷さんがいた。
「夏目。」
「は、はいっ!」
降谷さんはお仕事モードの表情で何か捜査資料を手に立っていた。
「…あ、俺。それじゃまた。」
高橋は降谷さんの雰囲気を感じ取ったのか、そそくさと資料室から逃げるように出て行った。
ーー…な、何か怒らせただろうか。
降谷さんは資料室に入ってくると、私の前に立った。
「…えっとーー…何か資料お探しですか?」
「…。」
じっと見下ろされ気不味い。
「それは?」
「え?」
私は手に持った缶コーヒーに視線を向けた。
これはさっき高橋からもらったやつだ。
「高橋にもらいました。」
「……その……。」
何か言いたそうにしている上司。
降谷さんは仕事ではテキパキ話をするのに、こういったことは口下手だ。
「これはあげませんよ?」
「…?」
私は手に持っていた缶コーヒーを後ろに隠した。
「これは降谷さんはダメです。」
私がきっぱりそういうと、降谷さんは一気に不機嫌な表情になった。