第27章 どっちが好き?
鉄分たっぷり特別メニューの食事を終えると、降谷さんにはシャワーをすすめた。
まだ湯船には浸かることはできないので、シャワーだ。
「なんか至れり尽くせりだな。」
「今だけです。早く治してください。」
着替えやらを用意してあげて、降谷さんを洗面所に押し込んだ。
あの傷で洗濯やシャワーですら大変だろう。
とりあえず負担を最小限にして、降谷さんには本当に早く復帰してもらいたいのだ。
風見さんにも強く言われていた。きっと風見さんも上からそう言われているのだろう。
降谷さんのシャワーの間に食器を片付け、リビングの掃除、明日の準備も整えておいた。
すると、ほかほかの上司が首にタオルをかけた状態でリビングに戻ってきた。
「あ、降谷さん夜のお薬飲みました?」
「あぁ。」
「よかった。」
「…母親だな。いや、なんでもない。それよりこのシャンプーいいな。」
タオルで髪の毛を乾かしながら降谷さんがそう言った。
同じシャンプーを使ったのかと思うと、妙に緊張する。
「美容院で…買ったので。」
「へぇ。」
エプロンで手を拭きながら、そういうと降谷さんが私の後ろにまとめてある髪の毛に手に取り鼻に持って行った。
「いい匂いだし。」
「…っ!いや…1日過ごして…汚いので…っ!あの…私もシャワー浴びてきます!」
「そう。」
そう言って、後ろに結んであるエプロンのリボン結びを解いていく降谷さん。
「エプロン姿ってそそられるな。前から思ってた。…ずっと。」
「…確かに。」
「君に見せたか?」
「ポアロでみました。安室さんのエプロン姿。」
「そうか。」
降谷さんはエプロンを床に落とすと、次は髪をまとめているゴムに手をやった。
肩に落ちた髪の毛を撫でる降谷さんを私はじっと見上げ、ゆっくりと近づいきたので、目を閉じた。
ーー…まだ退院して1日目だというのに。これから先…どうなるんだろう。
きゃん!きゃん!
「はぁぁーーー。ハロ。」
もうお決まりだ。来ると思ってた。
私達が仲良くしようとすると絶対間に入ってくるのがハロだ。
足元で飛び跳ねるハロを睨みつける降谷さんは、再び私の頬に手を伸ばした。
「吠えててもいいだろ。一回だけ。」
「いっぱい我慢した後のキスってきっと最高のものになると思いません?」
と言って、私は腕から抜け出しシャワーに向かうのだった。
