第27章 どっちが好き?
「降谷さんのパソコンをどうするの?」
「家で寝てるだけでは暇そうでしたので。」
「療養中も仕事をさせるの?」
仕事をさせずにまずは休ませろって言いたいのだろうが、組織のこと他の事件のこと、抱えてる案件はまだまだあるだろう。
彼みたいな性格は休めと言ったところできっと休まないし、逆に気になってストレスになんじゃないかと思ったのだ。
「ローラさんはお優しいですね。でも、上司の指示ですから。」
「…まさかあなたの家じゃないわよね?」
「まさか!パソコンは降谷さんの家に持って行きます。」
私の家で療養しているというのは風見さんしか知らないので、私は適当に誤魔化した。
じとりと睨んでくるローラさんを他所に私はいそいそと荷物を持って警視庁を後にした。
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私が家に着くと、降谷さんはソファに座って手を動かしていた。
「かえりました。もうトレーニングですか?」
「あぁ、動いてないと落ち着かない。」
ほら。
やっぱりうちの上司はじっと寝て療養なんてするはずがなかった。
「腹筋は使わないようにしてくださいよ。もう血はあげられませんからね。」
「わかってる。胸筋、背筋、腕だけだ。」
手をにぎにぎしたりして、腕の状態を気にしている上司を背に、私はキッチンに立った。
「すぐ夕食準備しますね。」
「悪いな。」
「鉄分たっぷりのご飯は…アサリ、菜の花、切り干し大根……。」
髪をまとめ、エプロンを付けると冷蔵庫から材料を出していく。
ハロを抱っこしたままの降谷さんがキッチンに来て、私の後ろでこちらをのぞいてきたので、私は首を傾げた。
「まだ出来ませんよ?」
「いや……。」
「…?」
「なんか、ムラッと来た。」
「何真顔で言ってるんですかっ。」
あのクソ真面目な上司から出た言葉とは思えなくて、私は驚いた。