第25章 銃弾
次の日私は朝日が昇る前に起きた。
キッチンに立ち、簡単な料理をしていく。
降谷さん、影くんは昨日からずっと働いているかもしれない。
きっと食事はとっているだろうが、少しでも栄養のあるものを。と、私は簡単に手で食べられるようなおかずを作ってはタッパーに詰めていった。
「ねぇさん、早いね。いい匂いで起きちゃった。」
「おはよ。」
リビングのソファで寝てたむっちゃんがボサボサの頭を撫でながら、私の後ろにやってきた。
「髪の毛切ったら?」
「んー?いいじゃん。」
「ボサボサだよ。」
「めぐみの元カレの真似してるんだよ。」
「…なにそれ。」
「そんなことより、俺の今日のご飯?」
机に広げられた料理に手を伸ばしながらむっちゃんが言った。
「違います。上司たちのご飯です。」
「それねぇさんの仕事なの?」
私はつまみ食いしようとするむっちゃんの手をはたいた。
「一生懸命働く人たちみてると、自然と自分も彼らのために何かをしてあげたくなるもんだよ。」
「…。」
「今はあなたに何かしてあげたいとは思わないかな。」
「厳しい…。……わかったよ。帰るよ。」
「あら。それはよかった。」
「母さんも謝ってくれたし。親父はまだだけど。」
「まぁ、よく話し合いなさい。」
むっちゃんに微笑みかけると、観念したようにため息を吐いた。
実家はとても厳しい家だから、後を継ぐとか継がないとかむっちゃんと父はよく衝突していた。
それは仕方ないかもしれない。
「私は朝早くに出て今日は帰ってこないかもしれないから、ちゃんと鍵してね。帰るならお弁当、作っておくから。」
「やった。親父に自慢しよ。」
朝早いせいか大きなあくびをしながら、むっちゃんは再び布団のあるソファへと戻っていった。