第25章 銃弾
電話を終えた降谷さんは急にTシャツを脱ぎ始めてぎょっとした。
ーー…ちょっ!早すぎないか!?
「本庁に戻る。」
「…あ。はい。」
ハンガーにかかってあったシャツに袖を通している降谷さんを眺めながら、私は邪な考えをしてしまった事が恥ずかしかった。
私も一緒に家を出ようと帰る支度をし始めた。
「連続爆破事件で分かったことがある。明日恐らくめぐみにも動いてもらう。」
「はい。」
上司の切り替えの早さに私は慌てて鞄を抱え、降谷さんを見上げた。
降谷さんはネクタイをきゅっと結び、上着を手に取った。
ーー…はやい。
「影月と今から決めておくから明日、少し早めに来てくれ。」
「わかりました。」
私は降谷さんの後ろを追った。
降谷さんが靴を履き終わったので、私もそれに続こうとしたら、降谷さんがこちらにぐるりと振り返った。
玄関の段差のせいで視線がいつもより近い。
「…?」
「続きはかならず。」
首の後ろに手を回され、引き寄せられるとおでこに柔らかい感触。
「…っ!?」
おでこを押さえ、驚いた顔をしていると降谷さんはイタズラが成功したような表情をして「あとは任せた。」と、一言残し玄関から出て行こうとしたが、私は咄嗟に降谷さんの手首を掴んだ。
「…どうした。」
「いや…あの……お花。まだリビングに飾ってます。」
「…そうか。」
「ありがとうございました。」
手首を離すと、降谷さんは一度だけ頷き部屋から出て行った。
少しひんやりとした柔らかい感触がまだ残ってる。
私は自分のおでこを指先で撫でながら、やり残しはないかと部屋を一周見渡し、鍵をかけ後にした。
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適当にお弁当屋さんで買ったお弁当を片手に自分の家につくと、弟がソファで出迎えてくれた。
「手作りがよかったな。」
「うるさい。早く家帰れ。」
降谷さんが来たのか。とか、弟に聞いてもいいが、また話が拗れそうだと、私は何も言わなかった。
弟は特にイケメンには厳しい。
「ねぇさん機嫌いいね。」
「んー?綺麗なお花に出迎えられるからね。」
花瓶の水を変えながら私は花の香りを吸い込んだ。