第23章 上司 降谷零の勘違い
僕がめぐみで遊ぶはずがないだろう。
まさか、めぐみもずっとそう思って僕に接していたのか。
不愉快だ。
「…好きだと言わなくても気付けよ。」
仕事終わりに車の中でめぐみに文句をいいながら、めぐみの家へと自然と向かっていた。
「言えばいいんだろ、言えば。」
ハンドルを強く握り、めぐみのマンションの近くのコインパーキングに車を停めると、ふぅと息をついた。
来る途中仕方なく寄った花屋で、小さな花束を買った。
“安室透”ならこんなこと簡単にやってのけるんだろうが、部下相手にこんなこと柄じゃないと思ったが、こうでもしないと伝わらないんだろう。
めぐみの部屋に行くのはアレ以来だ。
ーー…薬のせいだからって、あんなこと、普通の部下にするわけないだろ。鈍感女。
あの日のことを思い出しながら、めぐみの部屋のインターホンを鳴らした。
「はい。」
出てきたのは、男だったーー…。
「…っ。」
電気も付いていたし、部下のスケジュールは大体把握しているから仕事も終わって家にいると思っていたのだが…。
ーー…誰だ。
黒髪の癖っ毛がボサボサで、前髪も長いから目があまり見えない。
僕よりも背が高く、スウェット姿はまるでパジャマだ。
少し…松田に似ていると思ってしまった。
「あー、めぐみなら今お酒買いに行っちゃってて。」
「…。」
「警察関係の人?何か伝えときますか?」
「いえ、大丈夫ですよ。」
咄嗟に出たのは安室の表情だった。
微笑み玄関から出てきた男にそう言うと、男は眉を寄せ品定めするように僕を見た。
そして、右手に持つ僕の花をみて、鼻で笑った。