第20章 初めての
震えるーー…。
身体の奥が熱くてたまらない。
ゾクゾクする。
自分の鞄の自分が持ってきたペットボトルだと油断した。
最後の最後で…失敗した。
グッと握り拳を作って、薬に耐えようとした。
「…あの店員か。昨日声かけてきた。」
黒井さんがそう言い、私は頷いた。
恐らくそうだろう。この部屋に鍵を使って入って来れるのも、私を狙ったのも、彼しか考えられない。
「…催淫剤か。」
カッと顔が熱くなった。
恥ずかしくて彼の顔を見ることができない。
こんな姿ーー…。
「…だ、いじょうぶです。」
「…。かなり強い薬のようだな。すぐ店を出るぞ。」
「へーきですっ。」
「まもなくあの店員が来るぞ。今の君が抵抗できるのか。」
「…っ。」
うまく力が入らない。
…自分が情けなくて泣きそうだった。
せっかくうまく任務が遂行できそうだったのに、最後の最後で関係のない男に邪魔された。
腰に手を回され、ぐっと立ち上がるよう、支えてくれたが、今は彼が触れてくるその手すら体を熱くさせる材料になっていた。
「…っ…ーふぅ…」
「裏口からこっそり行く。耐えろ。」
「…っ。」
私は頷いた。
グッと自分の唇を噛み締め声を出さないよう耐えた。
「…血が出てる。」
黒井さんが私の口元に手を伸ばした。
「…ぅ…」
唇に指先が触れ、私は体を震わせた。
「悪い。迎えを呼んだ方がいい。彼に電話を。」
私は首を振った。
ーー…こんな姿見られたくない。
任務自体は成功したんだ。
なのに…こんな情けない姿。
「自分で…帰れますっ。」
ふー、ふーっと私は呼吸を荒げながら言ったが、黒井さんは私のカバンの中携帯に手を伸ばした。