第19章 ねぇ
沖矢さんは案外スパルタだった。
どんどんいろんなアレンジを加えた曲を弾いていくのに必死についていって、夢中でギターを奏でた。
途中からマスターもサックスを吹き始めて、本当にライブみたいになって、自分も上手くできてるのかもわからなかったけど、楽しくて仕方なかった。
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夢中になりすぎて、私は息を切らしながらやっていた。
「はぁはぁ…すごいっ!こんなに弾けるとは思わなかったです!」
ギターを置き、興奮気味にそう言った。
「基礎は十分でしたから。教えが良かったんでしょうね。」
「はいっ!沖矢さんもアコーディオンかっこよかったー!」
もう大興奮だ。
マスターもにこにこと笑いながら、サックスを立てかけた。
「お客さんとこうやって弾くのもいいね。あ、昴くん。」
「はい。」
「すまないが、ちょっと裏に業者がきたみたいだから対応してくるよ。ちょっとお店あけるね。すぐ戻るから。」
「わかりました。」
マスターはそういうと、お店を出て階段を上がって行った。
「すごく練習になりました。ありがとうございます沖矢さん。」
「いえ、こちらも練習をしたかったので。」
「沖矢さんも練習ですか?」
「えぇ、貴方と同じ潜入予定でして。この週末に。」
「……え?」
椅子に座ろうとして、私は沖矢さんをみつめた。
沖矢さんは綺麗な緑の瞳を私に向け、ふっと不敵に笑った。
「先手を打たないと君の上司に告げ口されては困りますからね。」
「…上司……。」
潜入することがバレている?
私が警察官だと話した覚えはない。
私は腰の後ろに常に持っている銃に手を伸ばしたが、肘のあたりを大きな手のひらで掴まれた。
「おっと、別に敵ではありませんよ。…夏目めぐみさん。」
名前もバレていて、私は彼の睨むように見上げた。