第19章 ねぇ
降谷さんが仕事に行き、私は再び練習を続けた。
夜にはまた昨日のようにあのジャズバーに行こうと思っている。
お金を払いたいというのももちろん、また演奏を聴いて勉強したかった。
降谷さんが買ってきてくれたご飯を食べて、軽く着替えると私は昨日のジャズバーに向かった。
昨日は沖矢さんの後ろについて行ったが、一人で行くとなるとなんとなく緊張したが、気さくなマスターを思い出したらそんなに怖くはなかった。
ーー勉強のため。
バーのドアを開けるとマスターとカウンターに座る沖矢さんがいた。
今日も沖矢さんは来ているようだった。
「こんばんは。」
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃると思ってました。よかったらどうぞ。」
沖矢さんはスマートに椅子を引いてくれて私は彼の横に腰掛けた。
「沖矢さん、昨日はさっさと帰ってごめんなさい。」
「構いませんよ。練習していたんでしょう?」
「はい。すごく感動しちゃって。あの昨日の飲み物のお代を…。」
マスターに視線を向けるとマスターはにっこりと笑った。
「昨日のは昴くんが払ってくれたよ。」
「やっぱり!沖矢さんすみませんっ!おいくらでした?」
「大丈夫。デートだと思っていたので払わせてください。」
「で、ーとじゃないです。払います…。」
本当にスマートな人だと思った。
「では、よかったら今日ギターを一緒に弾きませんか?それがお礼と言うことで。」
「…一緒に?」
「えぇ。マスター、お客さんが来るまでお借りしてもいいですか?」
「もちろん。」
「私…誰かの前で弾いたり、誰かと一緒に弾くのはしたことなくて。」
「僕たちしかいないんですからリラックスすればいいですよ。」
でも、これはチャンスかもしれない。
急に本番より、同じようなバーで弾いてみるのはいい経験だ。
「じゃあ、マスターさんお借りしてもいいですか?」
「どうぞ。」
私は昨日と同じ飲み物を注文してマスターのギターを借りて首にかけた。
沖矢さんはステージの横に置いてあったアコーディオンを手に取った。