第4章 苦手でも
手をつけないのもおかしい。
でも…なんだろう。これを飲んだら戻ってこれない気がする…っ!
「あの…」
「ひっ。」
プルプルとカフェオレに手を伸ばしていると、安室さんがいつのまにかそばにいて話しかけられ、驚いてしまった。
「ふふ、すみません。驚かせました?」
「い、いえっ!」
え?え?
…爽やかに微笑まれて私は不覚にもドキンッとしてしまった…。不覚にも!!
ふふって!降谷さんが…ふふって!!
「お砂糖、お渡しするの忘れてて。どうぞ。」
そう言って角砂糖の入ったガラスの器をテーブルに置いていった。
私が甘いコーヒーが好きだと知ってた…?いや、ただ単純に店員としてここにきただけだろう。
角砂糖を二つ、カップに入れてゆっくり混ぜる。
ふわっと優しい香りが広がって、私はほっとして、それを口に含んだ。
優しい味ーー…。
コーヒーの香りも、ミルクとの割合もなにもかも私の好みで本当に美味しい。
安室さんはニコッと笑った後、またカウンターの中へと入って行った。
…なんで笑ったんだろう。
ーーーあっ!? もしかして今のがUSBを渡すタイミングだったんじゃ!!!
し、しまった。
あまりに美味しそうなカフェオレを目の前に、本来の目的を忘れてしまった!
だから、安室さんは最初にこの席から砂糖を置かなかったんだ!
だから、安室さんは砂糖を届けにきたんだ!
『早く渡せ。何しにきたんだ』っていう微笑みだったんだと思うと、私は奥歯がガタガタと震え出した。
私はカタカタとカフェオレのカップをテーブルに戻すと、追加の注文をしようとメニューを取り出した。
安室さんと接触する機会を作らないと!!
ーーー…殺されるっ!!!