第18章 出会い
降谷さんはソファに座ったまま、横をぽんっと叩いた。
そこに座れってことだろうか。
私はギターを置いて降谷さんの横に座った。
「ほら、手。」
「…え。」
「手当するから。」
私は自分の指先を撫でた。
マメだらけで確かに痛々しい。
今も痛さも忘れて弾いてたけど、終わったと同時にまたジクジクと痛み始めた。
「ほら。」
「…。」
手を引かれ指先をそっと撫でられた。
ピリッと少しだけ痛みが走った。
優しく消毒してくれて、絆創膏を貼った後、キツめにテーピングを巻いてくれた。
「これだけ固くしとけば、弾いても痛くないだろう。」
「…ありがとうございます。」
手を握られてる感じですごく緊張する。
「どこのバーだ?」
「…歩いてすぐ駅前の地下に……あっ!!」
「どうした。」
「お金!!!払ってないです!どうしよう、彼に迷惑を…!そのまま放置して帰っちゃった!」
「…彼?」
「さっき知り合ってバーを教えてくれた方です。マスターも気さくで優しい人でした。」
「ほー。」
手をぎゅっと握られた。
「ふ、降谷さん?」
「知らない男にホイホイついて行ったのか。」
「警戒はしました…。出された飲み物も飲んでません。」
「…で?」
「演奏を聴いて感動してすぐ帰っただけです…。」
手を引かれ手首のあたりに降谷さんが鼻を当ててきた。
「…っ、ふるっ」
「タバコの匂い。」
確かに、横に座った沖矢さんはカウンターでタバコを吸っていた。
でも…そんな手から嗅がなくても…!
「く、くすぐったいです…。」
「嫌いな匂いだ。」
ちゅっと、手首の内側を降谷さんの唇が当たって身体中に電気が走ったみたいになった。
「…っ。だ、だめです…っ」
「めぐみ…。」
ソファの上で二人で見つめ合っていたが、私はすぐに目を逸らした。
また…甘えちゃう。
『別にめぐみさんに恋人がいてもいいです。好きなんです。』
こんな時に影くんの言葉が頭をよぎった。
ーー…だめだよ。