第18章 出会い
「バーボンロックで。」
「いつものだね。今日は早いね。」
「デートですから。」
「でっ!?」
カウンターに座って、沖矢さんとマスターさんが話してるのを聞いて私はぎょっとした。
デートのつもりはなかった。
「おや、違いました?私はそのつもりだったんですが。」
「えっ!?」
「まぁ、どちらでも構いませんよ。何飲みますか?」
「あ…、私はノンアルコールでもいいですか?まだこの後やることがあるので。」
「構わないよ。適当にノンアルコールカクテルでも作ってあげよう。甘いのと柑橘系とどちらがお好みかい?」
マスターに言われ私はすぐに柑橘系をお願いした。
まだ帰ったら練習にしなくちゃいけない。お酒なんて飲んでられない。
「マスター、お酒の後に、少し演奏してもらえますか?彼女に見せてあげたいので。」
「あぁもちろん。」
ドキドキした。
バーは何度か来たことあるけれど、こう言ったジャズバーは初めてだった。
お酒とオレンジや多分他の果物も入っているであろうノンアルコールカクテルがカウンターに並べられ、私たちはそれを手に取った。
「私達の出会いに。」
「今日の夜に乾杯。」
優しく笑う沖矢さんはとってもイケメンだった。
出会いに乾杯、なんてキザな言葉を言われたのも初めてで少しドキッとしてしまった。
「せっかく聴きに来てくれたのなら、さっそく演奏しようか。」
「嬉しいです。ありがとうございます。」
マスターはカウンターから出てきて、ステージの端に立てかけられていたギターを持つと椅子に座った。
ーー凄く優しい音色だった。
「わぁ…。」
私は両手を口元に持っていき、マスターの手元や動きをじっと見つめた。
弾くような音だったり、アレンジも素敵で、必死に覚えようと私は黙って演奏を聴き続けた。
やっぱり動画で見るより実際に見た方が感動が違う。