第18章 出会い
「どうして、私がギターをしてるって思ったんですか?」
私が聞くと、男性は私の手を指差した。
「その手のマメは、ギターを長時間してる人によく見られる怪我です。」
「はは。すごい。」
私は自分の手をさすった。
「上達したいけど行き詰まっちゃって。ジャズって難しい。練習の息抜きにお散歩してたんです。…貴方は?」
「私はただ飲みに行こうとしていただけですよ。」
私は再びギターに視線を戻した。
帰らなきゃ。
「…よかったら一緒に飲みませんか?」
「えっ?」
そんな初対面の男性にそんなことを言われるとは思わなくて私は驚いた。
この人は見た目はそんなナンパをするような人には見えない。
「息抜きと言っていたので、一杯だけ。」
「いえ…お誘い嬉しいけど、帰って練習します。」
「……近くにジャズバーがあるんですよ。マスターがギターをたまに弾いてますよ。」
「え?」
「生の演奏を見るのも十分練習になると思いますが。」
「行きたいです。」
「ふふ、では行きますか。」
歩き出した男性の後ろをついていった。
背の高い人ーー。
「私は沖矢昴といいます。貴方は?」
「めぐみです。」
変装もしてないし、フルネームを名乗るのは憚れて、私は下の名前だけを名乗った。
どうせ、今日だけの付き合いだ。
沖矢さんの後ろをついて行って、着いたのは小さなビルの地下だった。
雰囲気がとってもいい。
「ここにはたまに来ているんですが、マスターも気さくでいい人ですよ。」
「へぇ。素敵な場所ですね。」
お店に入ってキョロキョロと見渡した。
木目調のカウンターに、店には色んなお酒が飾ってあって、お店の奥には一段上がったところがあり、ピアノや譜面台のある小さなステージがあった。
「いらっしゃい。」
髭の生やした初老の男性がにこやかにカウンター内から話しかけてきた。