第18章 出会い
「お茶はいい。さっそく練習するからギター持ってきてくれ。」
お茶は要らないと言われたので、火を止め私は寝室のクローゼットからいつか売ってやろうと持っていたギターを取り出した。
「持ってきました。」
「あぁ、じゃあ、椅子に……。おい。」
「はい。」
「話聞いてなかったのか。」
「えっ!?」
「ジャズバーだと言っただろう。」
「…はい。え?ギターって…。」
「それはエレキギターだ。アコギかクラシックはないのか。」
「…ちょっと何言ってるのかわかりません。」
専門外過ぎて本当に降谷さんが何を言ってるのか分からなかった。
時間があれば先に勉強やら、練習をしたのだが、そんな時間も与えられなかった。
「はぁ。とりあえずそれは使わない。元彼ので返す予定もないなら捨ててしまえ。」
「えぇっ。」
捨てろって言われちゃったよ、お前。
私は緑や黄色に輝くなんとかギターをぽいっと部屋の端に放り投げた。
「僕のを貸すよ。明日めぐみに合うのを買ってくる。」
「えっ、自分でいきますよ!」
「いい。めぐみはとりあえず死ぬ気で練習だ。」
「は、はいっ。」
そんな暇さえ与えられないほど練習しなきゃなのか。
それもそうか。
子供の発表会じゃないんだ。
お店で怪しまれない程度にならなくてはいけない。
「座って。持ち方からだ。」
「はい。」
「違うっ!」
「ひっ。」
「左の指はこう!そうすると音が重なる!さっきも言った!」
「は、はいっ!」
外はもう真っ暗だと言うのに、一度も休むことなく永遠に怒鳴られ続けた。
ひーん、スパルタ!
やっぱり降谷さんはどこまで行っても完璧主義者で、なんでもできる、鬼だった。
「…こんな時間か。」
ふと、降谷さんが顔を上げ時計を見た。
終わる!?
「キッチン借りていいか。僕が作る。」
「いい…ですけど。」
「作ってくるから、練習。食べたらまた見るからな。」
…終わらなかった。