第17章 罪悪感
銃の手入れを終え、私は再び給湯室に戻ってきた。
お茶を入れて行こうと思ったからだ。
先程入れたポットのお湯で、お茶を入れていくと途端に給湯室には甘い緑茶の香りが広がった。
緑茶は好き。
昔からよく飲んでいた。
「いい香りだな。僕ももらえるか?」
高橋の次は降谷さんだ。
「はい。今入れますね。」
給湯室に入ってきた降谷さんにマグカップに入れた緑茶を差し出した。
湯呑みなんてここには無いから仕方ない。
「めぐみ。」
…二人になると急に下の名前で呼んでくる降谷さん。
…自分でそう望んだくせにまだ慣れない。
「明日休みだったよな。」
「はい。」
なんとなく照れ臭くて降谷さんに背を向け急須などを片付けていると、降谷さんがそっと私の耳元で囁いた。
「なら、約束していたアレ、明日僕の家でどうだ?」
他の人に聞かれないように、だろうが、耳元で囁かれ私は一気に身体が熱くなった。
「ご飯…作るって約束ですよね?」
「あぁ。僕も仕事は夕方からだから。」
チラッと後ろを振り向くと、安室さんとは違う優しい笑顔の降谷さんがいて直視できなかった。
ーー夕方から仕事。
私は一日ちゃんと休みをもらってるのに、降谷さんは一体いつ休んでるんだろうか。
「わかりました。栄養たっぷりのものをお昼ご飯に作りますね。」
「楽しみにしてる。」
ーー…これは部下としてだ!忙しい上司の健康を心配してるだけ!
だから、別に…降谷さんの家に行っても、う、浮気なんかじゃない。
私はそう言い聞かせた。
少しだけの罪悪感を心に残して。