第17章 罪悪感
射撃訓練場で、ヘッドホンを付けて構えて撃つ。
好きな時間の一つだった。
横で高橋が何かを言っているようだったので、私はヘッドホンを首にかけた。
「さっすが。射撃は同期の中ではずば抜けてたからな。めぐみは。」
「うん、まだ訓練以外で撃ったことはないけどね。」
「平和な証拠だよ。それが一番。」
的のほぼ真ん中に全ての弾が寄っている。それをみて私はにっこり笑った。…いい感じだ。
「でも、今日は少し右に寄るなぁ。後でお手入れしないと。」
「あれで寄ってんの?真ん中じゃん。」
「1発撃って、自分で修正かけたからね。」
「ふーん。…なぁ。」
「んー?」
ガチャガチャと弾を籠めていると、高橋がじっとこちらを見つめてきた。
「今日、デートしない?」
「…しないかな。ごめん。やっぱり高橋は私にとって同期であり、大切な仲間。」
「それ以外にはなれないってこと?」
私は高橋の顔を見てゆっくり頷いた。
「ちぇ、やっぱりそうかー。最近なーんか急にめぐみも変わったよな。」
「…そんなことないよ。」
「いいや、俺が言うんだから間違いない。可愛くなった。」
「…。」
「恋したな?」
私は持っていた薬莢をバラバラと落としてしまった。
カランカランという音が訓練場に響く。
「わかりやすっ!」
「してない!」
慌てて拾いながら、思い浮かべた上司の顔を必死で打ち消した。
「最近までお前彼氏いたじゃん。あの時と明らかに違うしな。」
「か、彼氏だってちゃんと好きだったし。」
「その彼氏より今の男の方が好きなんだな。」
「だ、だから!!恋してない!…恋人、いるし。その人…。」
「ふーん、へー。やっぱり好きなやついるんじゃん。」
恋する乙女はかわいーねー。などと、にやにや笑う高橋に薬莢が入っていた空の箱を投げつけた。