第17章 罪悪感
あの小屋での出来事は今でも思い出しただけで、悶えてしまう。
あんな…あんな……上司と!!しかも降谷さんは黒田さんと付き合っているのに!
降谷さんの腕の中は温かくて、心地よかった…。
キスも、あんな優しいキスーー…。
私は机で頭を振って思い出さないよう必死になった。
あの時は仕方なかったんだ、寒くて二人きりで、そんな雰囲気になってしまったから。
相手は恋人がいる、しかも警察庁のゼロ。
勘違いしてはダメ。
…好きになんてなっちゃーー…。
「夏目、書類これ頼んでいいか?」
「はい。」
先日雨の中の小屋から帰ってきて変わらず私達は仕事をしていた。
他の人が近くにいる時は降谷さんは『夏目』と呼んだ。
降谷さんの席に向かい、書類を受け取ろうとすると、他の人から見えないよう降谷さんが少しだけ優しく微笑んだ。
ドキッとして書類を急いで受け取ると自分の席に慌てて戻った。
優しい降谷さんは降谷さんじゃない!
席に着くと、前に座る黒田さんと目が合い、心臓が跳ねた。
罪悪感で押しつぶされそうだ。
黒田さんはプイッと視線を外し再び自分の仕事をし始めたが、もう気が気じゃなくて、降谷さんに頼まれた仕事を終えると私は執務室から逃げるように後にした。
「はぁ…。」
給湯室でお湯を沸かしながら、小さなため息を一つ。
「めぐみ。」
きき慣れた声が聞こえて顔を上げると、ひょっこりと高橋が顔を出した。
「なーに?」
「久しぶりにさ、コレ。いかね?」
指を銃の形にして、高橋は笑った。
「そうだね。行こっか。」
頭を真っ白にするにはいいかもしれない。
変わらない高橋に少し安堵しつつ、私は彼の後ろについていった。