第16章 上司 降谷零の誤算
夏目を小屋の中で抱きしめたのは仕方なかった。
僕のせいで薄着で来てしまったし、指先、鼻先を真っ赤にしてわかりやすく震える夏目を温めなければならなかった。
高橋には悪いと思う。
恋人をこんな風に合わせてしまって。
ただーー…、
腕の中でこじんまりと丸まり僕の胸に擦り寄る夏目をさらに力強く腕の中に閉じ込めてしまっている僕がいるのも確かだった。
「冷えてるな。」
と、言い訳をして、背中を撫で耳の近くに口を寄せた。
耳を赤らめ、もぞもぞする夏目が愛おしい。
しかし、夏目と話をしていると、影月から聞いていた高橋が恋人であると言うのは、影月へついた嘘だとわかり、心が震えた。
ーー…高橋とは付き合ってはいなかった。
だが、電話で聞こえてきたあの会話は?
『俺とのこと考えといてくれ』
そんな感じのことが聞こえてきた。
高橋にはその気があるんじゃないのか。
闘争心が湧いた。
腰に手を回し髪を撫でてやると、わかりやすく夏目は僕の胸を押し距離を取ろうとしていた。
閉じ込めたい。
「…めぐみって私の事も呼んでください。」
もう、止められなかった。
そんなことを言われて、照れ隠しに服の中に潜り込もうとする夏目…いや、めぐみの温もりをもっと感じたかった。