第16章 上司 降谷零の誤算
夏目の訓練も兼ねて、USBをポアロに持って来させた夜、警視庁に戻り夏目からの報告書を受け取った。
「お疲れ様です。今日はありがとうございました。一回目でスムーズに渡せずすみません。」
「……いや。」
ポアロで、タイミングが合わず無駄にカフェオレを2杯も頼み、水を大量に飲んでいた夏目を思い出して、また笑い出しそうになるのを耐えた。
もっとうまく出来ただろうに、なぜか水分を大量摂取する夏目。
「どうだった。」
「お腹タプタプになりましたが、とても美味しかったです。」
「…っ。」
変装をして外での接触や、重要なUSBなどの受け渡しがどうだったかを聞いているのに。
ケーキの感想を言う夏目に、ついに笑ってしまったが、なんだかこいつの前で笑うのが負けた気がして、僕は夏目に背中を向けた。
「そうじゃない。こうやって伝達する仕事はどうだったかと聞いてるんだ。」
「あ、すみません。」
そっちか!と、表情に出す夏目。
本当に飽きないやつだ。
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近くにはベルモットもいて、女性と仕事をすることは何度もあった。ベルモットは常に胸を剥き出しで歩いてるようなもんだし、パーティードレスだってしょっちゅう着て、共に歩く事だってあった。
「…目立ちますか?」
「…。」
華奢な肩。
室内にいることが多いせいで白い綺麗な肌。
確かにベルモットに比べれば劣りはするものの、ほどよい谷間。
肩紐をくいっと引っ張って自分の黒いロングのパーティードレスを見る夏目に若干の苛立ちを覚えた。
「寒そうに見えるだけだ。」
ぐっと拳を作り、夏目から視線を逸らすことしかできなかった。