第15章 寒さの中で
雨の中フラフラとしている女性がガードレールの向こうに落ちそうになってるいるのを私は走って助け出そうとした。
こんな雨の中だ。体調でも崩しているのかもしれない。
ガードレールに手をかけ女性を抱き止めるように飛びついた。
「えっ。」
「夏目っ!!」
あまりに軽い女性。
ーーー…いや。これは……ただのビニール袋。
スカッと空振りした私の飛び出した身体は止まることが出来ず、そのまま雨の中の暗闇に飲み込まれそうになったが、後ろから降谷さんが私を掴んでくれた。
ズザザザーーーと、泥の坂を転げ落ちていく。
「…きゃっ!」
衝撃が止まり、私は目を開けると降谷さんが私を覆うよう抱きしめてくれていた。
「ふ、降谷さんっ!」
「いたた…何やってるんだ!」
「す,すみません!これが…女性に見えて…!」
「ただのゴミだ!馬鹿!こんな雨の中人がいるわけないだろう!」
「ごめんなさい!」
私はハンカチを出して降谷さんの顔の泥を拭い、慌てて謝り続けた。
「…このぬかるみで上に上がるのは難しそうだな。」
私達は落ちてきた坂を見上げた。
坂というよりもう崖だ。
「怪我はありませんか!?こんな崖…!」
「いや、ぬかるんでたから平気だ。それより、どこか避難できる場所を探さないと。」
降谷さんは冷静だった。
私の手からハンカチを取ると、今度は私の顔の泥を拭ってくれた。
生い茂った木のおかげで雨はそんなに落ちてきてはいなかったが、ぬかるみが酷くて歩き難い。
私達はそんな中周りを見渡した。
「歩けるか?」
「はい。」
「うっすら向こうに建物が見える。行ってみよう。」
どんどん進んでいく降谷さんの背中を私は必死に追いかけた。