第15章 寒さの中で
先日パンクした降谷さんの車が使えなかったので、私の運転する愛車に乗って降谷さんの指示で田舎道を進んでいた。
ウィッグと眼鏡をつけて、『七瀬』に変装中だ。
「悪いなこんな寒い日に。服とかは向こうについた街で買おう。」
「はい。」
なんせ、本当に仕事終わりにそのままだったから何も荷物は持ち合わせていない。予備の下着とかは警視庁に置いていたから、それだけは持ってきている。
降谷さん曰く、毛利さんへの依頼に弟子として付いてこいと急遽言われたのだそうだ。
パートナーが必要で、毛利さんは依頼人のパートナーとして出席するのだとか。
「梓さんに頼むわけにもいかないし、ローラは長期の潜入を先日終え今は休暇を取らせてる。」
ーー…私は黒田さんの代わりですか。
「しかし、ひどい雨だな。運転平気か?」
「平気です。でも確かし見にくい…。」
不慣れな田舎道、ワイパーで動かしても前は見にくかった。
目を凝らし、慎重に進めた。
「先生から電話だ。路肩停められるか。」
「はい。」
こんな田舎の山道だ。
どこに停めたって迷惑にはならないだろう。
電話が聞き取りやすいよう私はエンジンを切った。
「えっ!?そんな毛利先生ぇー。はい。…はい。じゃあ今回は諦めます。いえ、構いません。それじゃあ。」
ーー諦める?
何かあったのだろうかと、私は助手席に座る降谷さんを見つめた。
電話を切ると降谷さんはため息をついた。
「?」
「帰るぞ、夏目。」
「えぇ?」
「先生が僕に送った住所、一つ前の依頼人のものだったそうだ。」
「……。」
「おっちょこちょいだからな。帰りは運転変わろう。」
「はい。」
すごい雨の中降谷さんがシートベルトを外したので私も慌ててシートベルトを外し車の外に出た。
運転くらい、私がしてもいいのに…。
一気に濡れる身体。
降谷さんが運転席に回ったので私も手で前が見えるよう覆いながら小走りで助手席に向かった。
「あっ!!」
道の先のガードーレールの向こうに赤い服を着た女性が倒れそうになってるのが見えた。
「危ないっ!」
「夏目っ!」