第14章 彼氏
新しい人って男の人かな、女の人かな。
男性ばかりだから、気の合う女の人だったら嬉しい。
今度の捜査会議で使う資料を作成しながら私は想像を膨らませた。
「もしもし。はい。…はい。」
横で高橋が真剣な顔で電話をしながら席を立ち、部屋を出て行った。
部屋の中で一人残された私は、出来上がった資料を印刷していた。
ガチャっと不意に開けられた執務室。
ここには降谷さんを知る人しか入ることができない。
風見さんが新しく来る捜査員を連れてきたのだろうと私はそちらに視線を向けた。
入ってきたのは綺麗な女性だった。
綺麗な黒髪にタイトなスーツ。
…かっこいい女性だ。
その人は私をチラッと見るだけで使われてなかった風見さんの横の机に荷物を置いた。
「あの…はじめまして。」
「…。」
「今日からの人ですか?私は夏目といいます。よろしくお願いします。」
何も言わない彼女に私は近づき手を差し出した。
「貴方がここに配属する前から私はいます。」
ふんっと睨みつけるように言われ、私は慌てた。
「ごめんなさい。今日から配属が増えるって聞いてたので。」
そんな言い方するなら挨拶してくれたらいいのに。と言う言葉は飲み込んで素直に謝った。
前からいるのに、初めて見る人だった。どこかに潜入でもしていたのだろうか。
…どこかで聞いたことのある声だ。
どこだっただろうかと、資料をまとめながら自分の席に戻った。
私の正面の席だ。
チラッと彼女を盗み見た。
綺麗な人…。
「貴方が資料係の夏目さんね。私は黒田ローラよ。」
“資料係”…初めて言われた。
確かにみんなの雑用のような資料作りばかりしてますよ。
ふっと鼻で笑われ私はむっとした。
「彼から貴方の話は聞いたわ。」
「彼…?」
「あぁ、降谷さんのことよ。」
彼と呼ぶような間柄なのかと驚いた。