第14章 彼氏
朝の日課である走り込みとトレーニングは無理なくほぼ毎日続けている。
肌寒い朝でもこれだけ走れば結構汗をかいていた。
「ふぅ。」
汗をぬぐい、ストレッチ。
すると、携帯に連絡が入り私は通話ボタンを押した。
「夏目、昨日から帰れてないんだ。来る途中…」
「わんちゃんの餌やりですか?」
「あぁ。悪いな。」
「わかりました。時間外手当は申請してもいいですか。」
「出ると思うか?」
「はーい。」
「今度ポアロでケーキでも出してやるから。」
「…。」
ポアロに行けってことじゃないか。
「ポアロの出前がいいです。」
「店舗に来るのは嫌か?」
「…安室さんがちょっと。」
苦手とは言わないけれど、いや、苦手だ。
言葉を濁すと降谷さんは楽しそうに笑った。
「そんなこと言わず僕に会いにきてくださいね?めぐみさん。」
「ひぃっ」
私は咄嗟に通話ボタンを押してしまった。
耳元で降谷さんの声で言われたら鳥肌が立つ。
私はあとから怒られることを確信しながら、携帯をポケットにしまい、自宅に向かった。
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「おはよ、高橋。」
「遅刻じゃん。」
「上司の命令だから仕方なーいの。」
「そ。」
わんちゃんの餌やりにいまだに手間取ってる。
飛びかかれないよう逃げながらしてたらこんな時間だ。
「降谷さん昨日から帰ってないみたいね。」
「あぁ、地方いるって。」
「ふーん。」
本当忙しい人だな。
「今日から一人増えるって知ってた?」
パソコンの電源をいれ朝のメールチェックをしようとしていると、横から高橋に言われた言葉に私は驚いた。
「えっ?」
「サイバー対策から一人。」
「そうなの?知らなかった。」
「今風見さんが連れてくるっぽい。」
「だから、今日はこっちに来いって言ってたんだね。」
もしかして私に後輩が出来るってことなのだろうかと、ソワソワし始めた。
別に年下とは限らないから、気をつけないと。