第13章 策略
全てが終わった数日後。
私はとあるお宅を訪れていた。
「こんにちは。昨日電話した警視庁のものです。」
庭先で水やりをしていた女性に私は話しかけた。
「はい。お待ちしてました、どうぞ。」
家の中に招かれ、私は女性の後ろについて和室に入った。
「手を合わせてもよろしいですか?」
「はい。」
私はへらっと笑う小井崎さんの写真が飾られた仏壇に手を合わせた。
全てが終わったことを報告するために。
「あなた…夏目さん?」
「はい。西署では小井崎さんの部下として働いていました。」
仏壇から離れ、私は小井崎さんの奥さんの前に座った。
優しそうな女性だ。
2年前より少し白髪が増えたように思えた。
「昨日電話でお話しした通り、2年前の小井崎さんは自殺ではなく、殺害されたと認定されました。」
「そう。…よかった。あの人が自殺するはずないって思ってたの。」
「…解決まで2年もかかってしまって申し訳ありませんでした。」
座布団から降りて、私は畳に手をつき頭を下げた。
「夏目さんの名前…あの人しょっちゅう出してたのよ。」
「…。」
「女だけどガッツがあって、面白い新人だって。記憶力もすごくて俺なんかより頭がいいんだって。」
「…そんな。」
「あの人のためにありがとう。」
「いえ…私は何もできなくて…。無力で…。」
私はぐっと、拳をつくり俯いた。
「あら?でも今朝若い男性から電話があったのよ。色々手続きの話と『当時部下だった夏目さんが2年間一人、主人は自殺する人じゃないとずっと調べていた』って。」
「え?」
「貴方の上司と名乗る方から。」
ーーー…降谷さん。
「主人を信じてくれてありがとう、夏目さん。」
「…はい。」
私は仏壇に飾られた小井崎さんの写真を見て、微笑んだ。