第13章 策略
降谷さんは私の淹れたコーヒーを啜りながらじーっと私が竹寺が来る前に食べていた朝食を見つめた。
「えと…朝ごはん食べますか?」
「いいのか?昨日から忙しかったんだ。」
あんな朝食じっと見られたらそう言わざるを得ないだろ…。
キャベツの千切りにきゅうりとトマトを添え、ハムとゆで卵、トーストというありふれた朝食だからそんな難しくはない。
「トーストにバター塗っていいですか?」
「あぁ。」
「ジャムは?」
「いい。」
…え?彼氏?
こんなの上司との会話じゃない。
席に座り少し固くなった私のパンを齧りながら前に座る降谷さんを見た。
もくもくと食べてくれてる。
「…降谷さんに命令をしていた上の方は?」
「ん?」
「私に手をひけと言った、上層部です。大丈夫なんですか?」
「あぁ、それも僕だ。」
「え?」
トーストを皿に戻し、私は眉を寄せた。
「警察の上の人間も防衛省幹部と同じように動いてると思えば、竹寺も何かしら行動すると思ってな。夏目がまた小井崎さんと同じように動くのではと竹寺も見張っているようだったから読みやすかった。」
「…。」
「案の定夏目に最後書類を託そうとしただろう?」
くくくっ笑いながら半熟ゆで卵を口にパクっと放り込んだ。
ずっと降谷さんの手のひらで転がされてたってことか。
息子の素行の悪い動画をネットに流したのも。
防衛省幹部の不倫現場の写真や動画を撮って流したのも。
私を囮に竹寺を誘い出したのも。
「ーー…教えてくださったらよかったのに。」
「パーティーに潜入中、キスをするふりをしたときの夏目の演技をみて、言わない方がいいと僕が判断した。」
「…あれは……。」
降谷さん相手じゃなかったからもう少し上手く出来た。
「まぁ、言っところで何も変わらなかった。」
確かにそうかもしれないけれど。と、私は不貞腐れながらハムにフォークを刺した。