第13章 策略
「悪かったな…こんな朝早くに。一度資料を見た夏目にしか頼めなくて。」
「いえ。大丈夫ですか?」
「かなり走った。…悪いが水をいっぱいもらえるか?」
私は頷くと、肩で息をする竹寺さんにタオルを渡した。
そして、水を取りに行こうと彼に背を向けた瞬間、私に大きな影が覆い被さった。
「悪いな夏目。」
右手には何か白い布を持って襲いかかってきた竹寺さんを私はサラリと交わし、首の後ろに踵落としをお見舞いした。
「悪いですね、竹寺さん。全てあなたの行動は読ませてもらってます。私の上司によって。」
腕を捻り上げ起き上がれないよう、膝で押さえつけた。
「くそっ!どけろ!夏目!」
「これは私を眠らせる薬品ですか?」
「…くっ!」
「蒸発とかでもして無くなったら困りますね、大事な証拠ですから。ジップロックにでも入れときましょう。」
そして私は後ろの腰に隠し持っていた銃で竹寺の頭をグリっと押さえた。
「……夏目…夏目が好きなんだ…悪かった、嘘をついてお前の家に侵入し、眠らせてお前を犯そうとした…。」
私は無表情だった。
そんなの嘘であることくらい私でもわかる。
確実に竹寺は私を殺すためにきた。
今回のことと、小井崎さんのことを私になすりつけ、自殺に見させけて。
ガチャっと玄関を開け入ってきたのは、高橋と風見さんだ。
「竹寺刑事。貴方を2年前の小井崎さん殺害の件で逮捕します。」
風見さんが礼状を取り出し、それを竹寺に見えるよう広げると、高橋が私の横にきて、竹寺に手錠を付けた。
「証拠も何もねーだろ!!あいつは自殺だ!」
「残念ながら証拠は揃ってます。どちらにしろ貴方は夏目さんを殺害しようとした。」
「お疲れ。俺が貰うよ。」
「ありがと。」
私は立ち上がり、竹寺を高橋に引き渡すと、ふぅっと息をつき銃をしまった。