第13章 策略
こんな早朝に降谷さんに連絡を取ってもいいだろうか。
いや、降谷さんのことだから警視庁にいるかもしれない。
食べていた朝食をそのままに私は立ち上がった。
早めに仕事に行こうと思ったからだ。
コーヒーをぐっと飲み干すと、携帯が鳴り始めた。
降谷さんから渡された携帯じゃない。盗聴されている方の携帯だ。
「はい。」
「おー、夏目か!悪いな朝早くに!俺だ竹寺だ。」
私に先週、今回のナイトクラブの事件の資料作成を頼んできた先輩だった。
「どうされました?」
「ニュース見たか?」
「ナイトクラブの件ですか?たった今見ました。」
「…まずいことになった。」
「…?」
「あれは上からの圧力でまぁ…なんというか…捜査できなくなったんだが…。」
「そうなんですか?」
「何か聞かれたり話したりしたか?」
「いいえ。」
はぁっと大きなため息が聞こえてくる。どこか焦っているようだった。
「俺が捜査を続けて報道に垂れ込んだと思われてるみたいなんだ…。このままだと消される…。」
「え?」
私は小井崎さんを思い出した。
また、自殺に見せかけて捜査員を消すと言うのか。
「竹寺さん、今どこですか?」
「実は近くにいるんだ。しかし夏目を巻き込むわけには行かない…俺は少し身を隠すんだが、俺の持ってる資料だけはお前に託したい。」
『夏目に託す』
小井崎さんも同じように言った。
「わかりました。」
「悪い…!」
私は電話を切ると上にカーディガンを羽織り、玄関に向かった。
すると、すぐに鳴るインターホン。
竹寺さんだ。