第11章 組織
「ハムサンドどうぞ。」
カウンター越しに置かれた綺麗なサンドイッチ。
とても美味しそう。
「いただきます。」
「カフェオレすぐ作りますね。」
「そうだ、マスターがめぐみさんにお礼って、『来店時、1杯目の飲み物一生無料!』だそうですよ?」
梓さんに言われ、私は頬張ろうとして開いた口のまま梓さんを見つめた。
「一生…?」
「一杯タダなんで、いつでも来てくださいね。なんなら毎日でも。」
「そんな、もらいすぎですよ!」
「マスターがいいって言ってるんで大丈夫です。あっ!時間だ!私ちょっと印刷屋さんのところ行ってきますね!ポスター受け取らなきゃ!」
エプロンを外し、ごゆっくりーと、言うと梓さんはお店から出て行った。
「相変わらずの行動力…。」
私がポツリとというも、安室さんがくすくすと笑った。
ーー閉店前に二人きり。
いくら失望したと言っても、上司に対してとても失礼なことを言ったのは自覚してる。
…形だけでも謝らなきゃ。
「あの…ふ……」
「ハムサンドはいかがですか?実は隠し味があるんです。」
「…隠し味?」
にこにこと笑顔のままカウンター越しに私にそう言った。
「えぇ、マヨネーズに少しだけある調味料が混ざってます。めぐみさんは当てられるでしょうか。」
「…?」
なんで、二人だけなのに安室さんを続けているんだろうか。
ーー…まさか。誰かに聞かれてる?
「んー、なんでしょう。」
「めぐみさんもよく知ってる調味料ですよ。」
「うーん…。」
考えながら私はぱくっと一口ハムサンドを口にした。
「料理は実は得意なんです。当てますよ。」
「ほぉー、お料理お得意なんですね。」
「しょうゆっ!」
「ハズレです。」
本当は味噌だと気付いてる。
わざわざ安室さんのままで話しかけてきたと言うことはもしかしたら時間稼ぎをしたいのかもしれない。
そう思って私は適当に調味料を言っていった。