第33章 ボスとのご対面
所変わって鬼ヶ島では大宴会が行われていた。ダンスフロアの様な所で百獣海賊団のクルーは踊り狂い、ステージの上で盛り上がっている大看板クイーンに向かって雄叫びを上げていた。
(パリピ過ぎる…!)
騒ぐ事は嫌いでは無いが彼等の勢いに押された花子は、別の部屋で彼等の奇声を聞きながらページワン達と静かに飲んでいた。
「本当に…クイーンの奴、煩いでありんす!」
「ははは…ここにもクラブあるんだね…。」
懐かしいなぁっと昔を思い出し沁み沁み飲んでいる花子の元に、ササキとフーズ・フーがニヤニヤと笑いながら近付いてきた。
「へぇ、意外と元気そうだな。」
「…お陰様で。」
嫌味を込めて睨み付けたつもりだったが彼等には何の効果も無かった様子。花子の側に腰を下ろそうとした2人の前にページワンとうるティが立ちはだかる。
「てめぇ等っ…花子にあんな事しといてよく顔出せたな。」
「そう怒んなよ、ぺーたん。俺達はお前の為に品定めしてやっただけだぜ?」
「思ったより好き者だったがな。餓鬼にはちょっと早ぇんじゃねぇか?」
「てめぇっ表出ろっ!踏み殺してやるっ!?」
カッと目を見開き挑発に先に乗ってしまったページワン達を、乗り遅れてしまった花子は苦笑いを浮かべ見つめている。
「綺麗な簪だねぇ。」
(…デカッ。)
さらりと背後から髪を撫でられ振り返ると、そこにはブラックマリアが花子の簪を見つめ艷やかに微笑んでいた。いい加減慣れても良さそうだが余りの高身長に花子は驚愕し目を丸くする。
「その簪…ページワンからかい?」
「えぇ…まぁ…。」
彼女の存在に圧倒され曖昧に答えると、ブラックマリアは意味深げな笑みを浮かべた。
「藤の花か…中々、情熱的だねぇ。知ってるかい?紫の藤の花には【君の愛に酔う】て意味があるらしいよ。」
「はぁ…。」
だから何だとでも言いたげに首を傾げる花子にブラックマリアはくすくすと笑い煙管の煙を燻らす。古来から【藤を女性】に【松を男性】に例え、藤と松を近くに植える習慣があるらしい。しかし生命力旺盛な藤は松の木に絡み付く様に成長する。
「だからね…藤の花にはこんな意味もあるんだよ。」
決して…離れない…。