第31章 おかえり…ただいま
花子 side
「花子さ~ん!…いないのかな?」
ガタッと扉に手をかける音にギクッと身体が強張る。身体に力が入りロー君のモノを締め付けてしまったのか、耳元で掠れた様な吐息が聞こえ私の腰にある手に力がこもる。
「花子さ~ん?」
「チッ…しつけぇな…。」
「ロー君、シィー…。」
舌打ちをかますローに、お客さんには申し訳ないけど私も今は早く立ち去って欲しい。花子さんはいませんよ~、お留守ですよぉ~と念を送っていると、ロー君が突然私の胸に吸い付いてきた。
「っンッ!」
「ん?声が聞こえた様な?」
何してんのっこの人はぁっ!?やっと諦めて帰ろうとしていたのに、思わず声を漏らしてしまった私にまた外から呼び掛けられる。
「花子さぁん!いるんですかぁ?」
「んっ、くっ…ふぅンッ」
「声、我慢しろよ。」
私の胸に顔を埋めるロー君はすっっごく楽しそうにニヤけていて、ジワジワと侵食してくる刺激に私は口を手で覆い必死で声を抑える。
「…やっぱりいないのかな?」
(この野郎っ…!)
「っ!てめっ…。」
やられっぱなしは何かムカつくから思いっきりナカに力を入れてロー君のモノを締め付けると、顔を顰めくぐもった声が漏れ出す。
「…いい度胸じゃねぇか。」
「ロー君が悪いっ…!」
お返しだとまたナカに力を入れると歪んだロー君の瞳がギラリと鋭く光る。あ…マズイ…と思った時には既に手遅れで、がばっと私を勢いよく押し倒したと同時に外から悲鳴が上がった。
「火事だぁー!?」
「早く火消しを呼べっー!」
バタバタと忙しない足音と野次馬の声が聞こえる。お客さんもそっちに気を取られたのか気付けばいなくなっていた。てか、私達も早く逃げないと!
「ロー君、火事だって!」
「あぁ?」
ロー君はチラリと扉に視線を移し何かを探ると大丈夫だと、私に視線を戻した。いや、何で分かるの?!
「火はこっちまで回ってこねぇよ。逆に人払い出来て良かったな。」
これで気にせずヤれると、コツンと奥を突かれビクンッと身体を震わせた私の口から霰もない声が漏れる。
「俺を煽ったんだ…満足するまで付き合ってもらうぞ。」
「ひぃっ…!」
ギラギラと捕食者の様な鋭い目をしたロー君に、今後彼を刺激する事はしないと誓った。