第27章 真実
光月史朗とは風変わりな男だった。物腰は柔らかだがやる事が豪快で、いつもおでんと一緒に花の都を暴れまわっていた。
「光月って…。」
「じゃあ、花子とモモの助君は血縁関係にあるの?」
「なぬっ?!」
「いや、おでん様と史朗殿は言わば義兄弟。血は繋がっておらぬ。」
おでんが【豪】なら史朗は【柔】。血は違えど2人は本当の兄弟の様にいつも一緒にいた。契りを交わした史朗におでんは自分と同じ【光月】の姓を彼に与えた。
「だから、花子のお祖父さんは古代文字が読めるのね。」
「…いや、それが違うのだ。」
「違う?」
「勿論、おでん様も光月の姓を授けたからには史朗殿に文字を教えようとした。しかし…。」
ーおでん、僕も流石に文字は読めるよ。ー
ー文字は文字でも古代文字だ!お主も光月ならば読み書きは出来る様にならんとな!ー
そう言って史朗に基本的な事を教えようとした時、史朗は怪訝な顔でおでんを見つめた。
ー普通の文字じゃないか。ー
「普通って…。」
「うむ、まことに信じがたい事だが史朗殿は生まれながら古代文字が読めたのだ。」
驚いたおでんは自分が書いた古代文字を史朗に解読してみろと見せた。すると、史朗は一言一句間違わず見事解読して見せたのだ。
「もしかして…花子も?」
「う、うん。皆にどう映ってるか分からないけど、私には普通の文字に見えるよ?」
少し気まずそうにしている花子にロビンは幾つか文字を書くと花子に見せた。彼女の指示通りに読み進めていく花子にロビンは驚きを隠せない様子。
「全て…合ってるわ…!」
「何っ?!」
「花子、書く事は出来る?」
「ごめんね、書く事は出来ないかな。」
しゅんと申し訳なさそうにする花子に錦えもんは顎に手を置く。史朗もそうだったと。書く事は出来なかったが、すらすらとおでんの文字を読み解いていったと。
「もしかすると史朗殿と花子殿の世界ではこの文字が普通なのかもしれん。」
「花子の世界?」
「史朗殿は…こことは別の世界から来た御仁なのだ。」
そう言えばまだ話していなかったと、花子は驚き声を上げるルフィ達をよそにどう説明しようか考えていた。