第22章 動き出した歯車
【白き魔物は神の使い。新たなる王が現れし時、最果てへと誘う。】
「これがスカイオルカの伝承じゃもん。」
「最果てって…もしかして!」
「なぁ~…まずスカイオルカって何だ?」
ネプチューンから語られる伝承にナミはハッと目を見開く。しかし、余りピンときていないルフィはスカイオルカが何なのかが分からない様子だ。
「スカイオルカとは神に使えし神獣。言わば伝説の生き物じゃもん。」
「それが…コハクなの?」
「うむ、間違いない。」
「ロビン、シンジュウって何だ?」
「神様に使える神秘的な生き物って事よ。」
「へぇ~!コハクお前凄ぇなぁ~!」
ニシシッと笑顔を見せるルフィにコハクは一瞬キョトンとした顔をするが、すぐに居心地が悪そうにそっぽを向いた。
「しかし、スカイオルカは神の様な存在。並大抵の者では従わせるはおろか、その姿を見る事すら出来まい。」
「…"その者、白き魔物を従え王となる者を玉座に導くであろう"。」
「それを知って?!」
「何がおかしいんだよ、コハクは俺達の前に姿見せてんだろ?」
ポツリと呟いたロビンの言葉にネプチューンは驚き目を見開く。よく分からない伝承に花子と何が関係あるんだと首を傾げる。
「よく考えて、ルフィ。コハクと一緒にいるのは誰?」
「花子だろ?コハクはあいつの事、大好きだからなぁ!」
「…おいおいおいっ!?じゃあ、その伝承が本当なら花子が?!」
「…多分、その子がスカイオルカを従える者じゃもん。」
もし伝承通りなら花子が拐われた事にも頷ける。花子がいればコハクは必ず現れるのだから。
「まっ!いいじゃねぇか。」
「ルフィ…分かってんのか?!花子がいねぇって事は"ラフテル"の道も分からねぇかもしれねぇんだぞ!?」
「そん時はそん時だ!他に方法を探せばいい。」
今はコハクが此処にいるから良いものの、いつ花子の元に行ってしまうか分からないのに、呑気なルフィにウソップはガクッと肩を落とす。
「それに俺はそんなんがあるから花子を助けるんじゃねぇ!」
「そりゃ俺だってあいつが心配だ!」
「あいつが船に乗りてぇって言うんならいいが、そうじゃねぇなら乗せねぇ!」
これはあいつとの約束だと、ルフィはふんと鼻息を荒くした。