第3章 初上陸
「クリオネ~!」
「おぉ、花子~!もう帰ってきたのか?」
船番をしていたクリオネは自分を呼ぶ声に顔を覗かせる。そこには花子が手を振っており船に上げようと縄梯子を下ろす。
「あのね、イッカクや皆に伝えといて!」
「ん?」
「私、今日は帰りません!」
「…はぁ?!」
それじゃあ、と1つ敬礼をした後逃げる様に走り出した花子にクリオネは船から身を乗り出す。すぐにでも追い掛けた方がいいのだろうが、船を空けるわけにはいかない。小さくなる花子の背中を見つめ頭を抱えていると、クリオネは突然驚き声を上げた。
「何で、あいつと?!」
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「言ってきたよ~。」
「…本当に大丈夫かねぃ。」
笑顔で駆け寄って来る花子に一部始終を見ていたマルコはあれでいいのかと疑問を覚える。
(まぁ、俺も退けないんでね…。)
折角、この後を漕ぎ着けたのだ。これを無駄にしたら暫くは花子と会えなくなりそうだと思ったマルコは、船番をしているクリオネに心の中で謝罪し、花子の腰に手を回すと夜の町に消えていった。
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キラキラと煌めく繁華街。そこに1軒ある宿屋にマルコは泊まっていた。
「ここにお兄さん泊まってるんだ。」
「あぁ、ボロくてすまないねぃ。他の部屋に移るかぃ?」
折角なのだから綺麗な所に行こうと言ったマルコに花子が彼の泊まってる所で大丈夫だと断った。
「別にそんな事にお金使わなくて大丈夫よ。」
「…男にも見栄ってもんがあるんだがねぃ。」
「それにこっちの方が何か旅行に来てるみたいで楽しい!」
勢いよくベットに飛び込み楽しそうにしている花子に、マルコは目を丸くした後ふっと笑みを浮かべ彼女の上に覆い被さった。
「ん…。」
「ほら…さっきみたいに口、開けな。」
「ンんっ…!」
ちゅっと軽いキスをした後、言われるがまま薄く口を開くと厚い彼の舌が捩じ込まれる。
「んっ!まっ…て…!」
「何だよぃ。」
服の釦に手を掛けるマルコに花子が待ったを掛ける。ここまできてやっぱり無しは無いだろうと言う目線を向ける彼に、風呂が入りたいと申し立てをする。