第14章 紳士の愛
サンジ side
正直、花子ちゃんの話を聞いた時は耳を疑った。こことは違う世界から来た。そんな事、本当に有り得るのか?だが、真剣に話す花子ちゃんが嘘を言っているとは思えねぇし、何より許せねぇのは…。
(何て糞野郎なんだっ!?)
花子ちゃんと付き合ったと言うだけでも羨ましいのに、他に女が出来たからおさらばだとっ!?今からでも見付け出して3枚におろしてやりてぇっ!
「花子ちゃん…。」
ポロポロと涙を流す花子ちゃんはきっとその糞野郎を想っているんだろう。そんな奴の為に君が悲しむ必要はねぇよ。
「…駄目。」
「…。」
彼女の頬を両手で包み込みゆっくりと顔を近付けると唇を手で覆われた。拒絶と言うよりかは何処か気まずそうな表情。
「…ゾロか?」
「っ!」
ゾロの名前を出せばあからさまに動揺した様子の彼女に、やっぱりあいつ何かしやがったのかと怒りが込み上げてくる。
「あいつの事が好きなのか?」
「そう言うんじゃないけど…色々と…。」
チョッパーさんの事もあるし…と、口籠る花子ちゃんの手を握り締め俺は彼女の唇を奪った。
「んっ、ふぁっ…」
鼻から抜ける甘い声、柔らかな唇。ふと彼女から漂う甘い香りに脳が痺れるのを感じる。
「君は何も気にする必要はないよ。」
「…っ。」
「俺が君の心の隙間に付け込んだんだ。君は何も悪くない。」
今だけでいい…君の居場所に俺はなれるかな?
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花子 side
本当に私は狡いと思う。サンジ君の優しさに付け込んで彼に必要とされている事に喜びを感じているんだから。
「本当に…いいの?」
「どちらかと言うと、それは俺の台詞な気がするけど。」
流されるまま彼を家に招き入れベットに私を押し倒すサンジ君を見上げると、苦笑いを浮かべながら優しく額に触れるだけのキスをする。
「君は何も考えなくていい…。只、俺だけを感じていて?」
「ん…」
私を抱き締めるサンジ君の腕は壊れ物を扱う様に優しく、触れる唇は甘く愛されていると錯覚してしまいそうになる。
(結局…私は何も変わってないんだなぁ。)
求められれば求めてしまう…そんな自分を情けなく思いながらも、今だけは彼の優しさに包まれたいと思った。