第11章 パンクだね
花子 side
(…身体、痛い。)
意識を手放しかけた私をお兄さんが無理矢理起こし、それから行為は続行された。最後の方は覚えていない。痛む身体に鞭を打ち起こすと隣ではそれはそれは気持ち良さそうに鼾をかいているお兄さん。
(この野郎っ!)
こっちは身体がボロボロなのに呑気に眠りこけてっ!1発殴ってやろうと恨みを込めて拳を握ったけど、結局は私も流されちゃったから止めといた。
「えっぐぅ…。」
ベットから足を下ろすと太腿やお腹、其処彼処に付けられた歯形とキスマーク。最中は気にしなかったけど冷静に見ると引く程の量。この分だと背中にもありそうだなぁ。
「どうすんのよ、これ…。」
家に帰るには大通りを通らないといけない。こんな姿で歩いたらそれこそ強姦にあったのかと心配される。
(まぁ、間違ってはないけど。)
どうやって帰るか考えているといきなり肩を掴まれ後ろに引き倒された。
「ひぎゃぁっ?!」
「なんつう声出してんだ。」
ドッドッと脈打つ胸を押さえお兄さんを見上げると彼はからかう様に笑いながら、私を押し倒してきた。
「…えぐいな。」
「お兄さんが付けたんでしょ!」
他人事の様に引いた顔をするお兄さんにやっぱり殴ると拳を振り上げるも、呆気なく掴まれベットに縫い付けられた。
「…何だよ、それ。」
「え?」
「そのお兄さんっつうのは。」
お兄さんはお兄さんでしょ?当たり前の事を聞くお兄さんは何だか拗ねた様な顔をしている。
「…キッドだ。」
「んぇ?」
突然名乗り出したお兄さんに首を傾げると舌打ちをかまされ、がっと頬を掴まれた。
「だから!今度からはそう呼べ!」
「!」
恥ずかしそうに頬を染めるお兄さんに思わずキュンとした。これがギャップ萌えっ!
「ふふっ、名前呼んで欲しかったの?」
「…まだ仕置きが足りねぇ様だなぁ!」
凄んでくるけど真っ赤な顔をされても全然怖くない。でもこのままだと本当に襲われそうだから取り敢えず謝っておく事にした。
「ごめん、ごめん。許して?キッド。」
「…。」
名前を呼べばポカンとした顔にまた笑いが込み上げてきた。
(…やっぱ犯す。)
(何で?!)名前呼んだよ!?
(煽ったてめぇが悪い。)
(いつ?!)