第6章 *幼馴染卒業 【黒尾鉄朗】
たどり着いた先は体育館裏。
これって…
鈍感な私でも気づいてしまった。
案の定、そこには先客がいた。
「あ、黒尾くん!来て、くれたんだ…」
可愛らしい女の子がこちらを振り返った。
「おう。で、話ってなんだ?」
話の内容に気付いてるのか気付いていないのかわからない調子で、クロは女の子に問いかけた。
「あのね、私、ずっと前から…黒尾くんのこと…」
嫌だ、やだよ!!こんなの…聞きたくない…
今すぐ逃げ出してしまいたいのに私の足は竦んで動けない。
クロの後を付いてきたのを今更後悔した。
わかっていたはずだ。クロがモテることぐらい。
それなのに、やっぱり実際に告白されているところを見るのはなかなかキツいな…。
「…好き。」
彼女がそう言った瞬間、私は立っていられなくなり、その場にペタリと座り込んでしまった。
そのせいで、ジャリっと音が鳴り、それと同時にクロがこちらへ振り向いた。
「…!優希!!」
やば…
私は危機感に襲われ、必死に逃げた。
すぐにクロが追いかけてくるのがわかった。
追いかけてこないで!!今は一人にさせて…!!
その願いも虚しく、やはりクロに勝てるわけもなく、あっけなく捕まってしまった。
「優希…なんで先に帰ってなかったんだよ…」
だって、クロの様子がおかしかったから…
なんて、本音が言えるはずもなく、心の中に消えて行った。
「私もクロに用があってさ。先生にクロ呼んで来いって頼まれたんだ。いやぁーでもまさかあんなことになるとは思ってなかったよ。」
咄嗟に口を衝いて出たのはウソだった。