第7章 この匂い嫌い?
「力はまだ目覚めていない。その時が来ても断じて使うことのないように…。」
待って、あなたは誰なの?
背を向け離れていく謎の人物に手を伸ばす。
「…はっ!」
肩に手が届いたところで勢いよく目を覚ました。
体を起こし枕元につくランプを頼りにある物を探す。
「今何時!?」
机に置かれた時計を見ると午後7:00。
「ひぃっ!ご飯作らなきゃ…!」
ドタバタとローの部屋を出ると、自分の格好には目もくれず急いで食堂へと足を運ぶコノハ。
あれからハートの海賊団はイムサ島を出航し、次の島へと向かっていた。
16時頃、ローの部屋で薬の研究をしていたコノハは、猛烈な眠気に襲われるとそのまま机に突っ伏して寝てしまった。
あろうことか任せられている夕飯を作ることもなく、3時間も寝てしまっていた自分。
普段なら17時にはキッチンに立ち夕飯の支度をする。
研究していた時だってあと1時間って思っていたはずなのに、どうしても眠気に勝つことは出来なかった。
「みんなごめん!今からご飯作る…って、アレ?」
勢いよく食堂の扉を開けると部屋中に広がるのは空腹を誘うような美味しそうな匂い。
机の上には大皿に盛られた数種類のおかずをロー以外の3人が目を光らせて奪い合っている。
「コノハおはよう〜。」
ベポに声をかけられハッとする。
「おはよう!じゃなくて、夕飯どうしたの?」
美味しそうな匂いに誘われ3人のいるテーブルへ近付く。
「キャプテンに今日は飯作れって言われたから作っただけだ!腹減ってるだろ!一緒に食べようぜ!」
「ペンギン、キャプテンはコノハと食べる為にまだ食べてないんだよ!ここでコノハがボクたちとご飯なんて食べてたら、また怒られちゃうよ!」
なるほど、そういうことか。
ベッドで寝てたのはローが運んでくれたからで、私が寝ていたからそれに気を遣ってみんなにご飯を作らせたってこと?
本来なら自分の仕事なのに炊事を任せてしまったことに申し訳なさを感じるものの、ローの気遣いに目尻を下げるコノハ。
「それで、ローはどこにいるの?」
食堂に入った時からローの姿がない。
「キャプテンならお風呂入ってるよ!」
なら先にお茶でも飲もうとキッチンに向かうと、ベポが脳天を指すような声で叫んだ。