第5章 また見惚れてんのか
自分の置かれていた状況に急に恥ずかしくなり布団に手を伸ばすと、頭まで被ったコノハ。
それを見ていたローは呆れたように舌打ちをすると、ソファーに腰を落とした。
どれぐらいそうしていただろうか。
この船に乗って初めてじゃんけんすることなく、勝手にベッドに入ってしまった。
未だ眠れないコノハに聞こえるのは、本を読んでいるであろうローがページを捲る音だけ。
自分は経験が無いため、それを気遣うように無理強いはしないと言っていたロー。
船に乗ってもう少しで1ヶ月が経つが、キス以上の事はしていない。
キスの後毎回苦しそうな目をするローは、きっとずっと我慢している。
「…ロー。」
そんな事を考えていたら、気付いたらローの名前を呼んでいた。
「…どうした、足が痛くて眠れねェか。」
そうじゃない。
もう、我慢しなくていいから。
「今日寒いから、お布団…一緒に入ろう?」
いきなりコノハの口から飛び出た言葉に目を見開くロー。
一度コノハの方を見ると、再び本に視線を落とし口を開く。
「お前……、自分の言ってる意味が分かってんのか。お前と同じベッドで寝たら、俺は確実に我慢できねェ。それが嫌なら寒くても一人で寝てくれ。」
布団の中で返事を聞いていたコノハは、勢いよく布団から出てベッドに座る。
その音に驚いたのか、こちらを向き目を丸くしたローと目が合う。
「…私だって、もう我慢しているローを見たくない。だからお願い、抱いて……。」
顔を赤く染め、大きな瞳で自分を見つめる彼女を気付いたらあの時のように押し倒していた。
これからすることに緊張と恥じらいの顔をし、自分を見上げるコノハ。
自分のパーカーを羽織り、裾からは奇しくもあの時と同じく白くて細い太ももが曝け出されている。
コノハをこれから抱くという期待と、コノハの見せる表情に全身の肌が粟立ち、下半身に熱が集まっていく。
「…余裕は無ェが、なるべく優しくできるよう努力する。」
コクンと頷くコノハを確認すると、何度でもキスをしたくなる唇に夢中で食らいついた。