第13章 約束して
「え〜っと薬、薬…。」
自分で調合した薬を戸棚から数本取り、手持ちのバッグに入れる。
もうすぐ島に到着する。
薬屋があったらまた買い取ってもらいたい。
あとは本屋にも寄りたいし、それからそれから…
「…準備はできたのか。」
いきなり声をかけられ体が飛び上がる。
「ロー!いつのまに!?」
振り返ればそこには壁に寄りかかるローがいた。
「ずっと声をかけてたが…。その様子じゃ聞こえてなかったみたいだな。」
まさにその通りだ。
鼻で笑うローに近寄ると、長い腕が腰に巻かれる。
「ちゃんと着込んだか。行くぞ。」
今回の島は特段寒いらしい。
以前ローに買ってもらったコートがあって良かった。
ローに導かれるままデッキへと向かう。
「新しい島楽しみだね!早く島特産の物食べたいなぁ。」
「ハァ…。相変わらず食いもんの事しか頭にねェな。」
ため息を吐きながらスタスタと歩みを進めるロー。
食べ物以外にも考えているんだけどな。
「ローの事もいつも考えてるよ?」
コノハの一言でローの足がピタリと止まった。
「ロー…?」
不思議に思ったコノハが顔を覗き込むと、顔を赤くしたローと目が合う。
「…なんだ。」
「ふふっ、耳真っ赤だよ?」
悪戯に笑うコノハがローの腕からするりと抜け出す。
「早く行こう!」
パタパタと数歩先に進み手招きをするコノハ。
子どものようにはしゃいだり、急に大人っぽくなったり、コイツのおかげで調子が狂う。
そんなコノハの手を取りデッキを繋ぐ扉を開けると、刺さるように冷たい風が顔を掠める。
ベポがオレらに念押しするほど寒い気候の島。
ふとコノハの様子が気になり隣を見る。
「さっむーーーー!でもなんかワクワクする!」
こんな気候でもコイツにとってはどうやら楽しいようで、自然と頬が緩んだ。
「キャプテーン!コノハー!もう着くよー!」
デッキの先で寒さに慣れた白クマが叫ぶ。
「…行くか。」
「うん!」
寒さに震えるコノハの手をローが握り直す。
凍てつくような風が吹くこの島で、これから何が起きるのだろうか。