第12章 まるで魔法だな
喉の渇きで目を覚ましたコノハ。
後ろからローに抱き締められているからだろうか、背中に伝わる体温がとても心地良い。
また目を瞑りそうになるが、水分を欲する体は再び眠りにつくのを許してはくれない。
(何か飲もう…)
腹に巻きつく腕からすり抜け、重い体をなんとか起こす。
隣を見れば小さく寝息を立てるローがいて、無防備な姿につい頬が緩んだ。
手の届く距離に愛する人がいる。
この以上の幸せはないだろう。
(バレませんように…)
穏やかな顔で眠るローにコノハはキスを落とす。
そっと顔を離せば、伏せていたはずのキレ長い目が急に開かれた。
マズイ。
3文字の言葉がコノハの頭に浮かぶよりも先に、長い腕が伸びる。
「クク…、寝込みを襲うとはなァ。まだ足りねェか。」
機嫌の良さそうなローは口元を吊り上げる。
普段と逆転する視界に、今自分はローの上に跨っているのだと理解した。
「な…っ!いつから起きてたの!」
跨っているとかそんな事はどうでもいい。
寝ている隙にキスをしたのがまたもバレてしまったコノハは、顔を紅潮させた。