第10章 そういうところも好きだよ
夜になり、コノハはローのベッドで雑誌を読んでいる。
かれこれ30分相手にされていないローは目の前の小さな肩に顔を乗せる。
「さっきから何を見てるんだ。」
自分の足の間で珍しい物を読む彼女へちょっかいをかけるように、腹に回した腕に力を入れる。
「んぅ〜、苦しいよ。ちょっと待ってってば。」
後ろを向けば不機嫌な顔をしたローと目が合う。
なにがそんなに不満だと言うのか。
「今ね、クリスマスプレゼントの参考になりそうな物を見てるの。だからもうちょっと待ってくれる?」
相手にされないことに不服なのだろう。
ローの心中を読み取ったコノハは優しく説明をした。
「あとどれくらい待てばいい。」
子どものような発言に目を細めたコノハは雑誌を閉じる。
体をローの方に向けその上に跨ると目尻を下げた。
「もう終わったよ。どうしたの?」
「いや、別に用は無ェ。」
明らかに構ってほしそうなのに、こっちを向いたら向いたで顔を背けてしまうロー。
癖のある黒い髪を掻き分ければ、少し骨ばった耳が顔を覗かせた。
「ローって、ピアスの穴が開いてるのにどうして付けないの?」
自分の耳朶を触るコノハの髪に指を絡ませるとローが口を開く。
「気に入るモンが無ェからな。」
「ふぅん。そうなの。」
確かにこだわりが強そうなローは、適当に買ったピアスなど付けもしないだろう。
ここでコノハに天啓が降りる。
なら自分がプレゼントしたらどうなるか。
頭の中で目を細めるローを想像し、自然と顔が綻んでいると急に体を抱き寄せられた。
「おい、何を考えている。」
コノハの思考でさえ知りたいローは跨る彼女の太ももを撫でる。
「んッ!ちょっと!急に何するの!」
ヒンヤリとした大きな手に、小さな体が跳ねた。
「フッ…俺はただ触っただけだが。」
喉の奥を鳴らしながら笑うローは、背中に手を回すと器用に片手だけで下着のホックを外す。
締め付けていた物が急に軽くなり、コノハは目を丸くした。
「ロー、何して…っ!」
「長い事俺を放っておいた罰だ。」
既に獣の目をしているローは口元を吊り上げた。
たかだか30分でもローにとっては長時間。
この後散々抱かれたコノハは、もう2度とローを放置しないことを心に誓うのだった。