第10章 そういうところも好きだよ
ウォーターセブンを出発した次の日の朝。
5人は食堂で朝食をとっていた。
「ん〜!我ながら美味しい!」
昨夜激しくローと抱き合い、寝起き早々に腹を空かせていたコノハは自分の作った料理を次々と胃袋へ流していく。
「相変わらずよく食べるなァ!そんな小さい体のどこに入ってくんだ?」
コノハの食べっぷりに笑うシャチ。
彼女の隣に座るローでさえ朝からこんなに食べない。
「アイアイ!コノハ、その焼き魚のおかわりは僕がもらうよ!」
目の前に盛られた魚のおかわりに手を付けようとすると、ベポの待ったがかかる。
中身のない4人の会話に、ただローは黙々とコノハの手料理を口に運ぶ。
「こういうのは早い物勝ち!」
子どものように笑うコノハが長い髪を耳にかけ手を伸ばすと、それを見ていたシャチが何かに気付く。
「っておおい!?首のソレ、大丈夫かよ!?」
ロー以外の3人が一斉にシャチの指差す方向へ目を向けると、白い首に浮かぶのは赤い跡と大きな歯形。
しまった。
そう思った時にはもう遅い。
まじまじと首元を見られ一気に顔が熱くなる。
「み、みみみみ見ないで!」
持っていた茶碗を置き、急いで髪をかき集めているとペンギンが口を開く。
「おいおい、今更かよ!セントポプラで頸にたくさん付いてただろ!」
ペンギンの放った一言にコノハも、そして隣に座るローも眉毛をピクリと動かす。
「セントポプラ?」
首を傾げるコノハに心当たりはない。
ルフィとの一件でローに抱かれた後、見えるところに跡は付けるなと言ったハズ。
昨日のことは別として、それまでは首に跡は付けられていない。
「レストランでキャプテンとメシ食ってたろ?たまたま2人を見かけてさー、その時ソレついてたぞ。」
指を指すペンギンにコノハは開いた口が塞がらない。
自分は何も知らずに髪を纏めていたのか。
いや、そもそもローはいつ付けたのか。
頭を抱えるコノハの横でローがペンギンを睨む。
「テメェ…、黙ってればベラベラと喋りやがって。」
殺気立つ視線に気付いたペンギンは、机に頭を下げる。
「すいません!!!」
今まで一言も発していなかったローがついに口を開くと、その存在にようやく気付いたペンギンの顔からは血の気が引いていった。