第2章 教えてあげる
ほらそうやってお前は俺の好きな顔で泣くんだ。笑ってる顔なんかより、俺の前で泣いてる顔の方がよっぽどマシだよ。
「あっそ」
「雅哉?どこ行くの…………」
「遊ぶ女でも見つけてこようかなって思って」
本当は。泣き顔見た時に一瞬、本気で犯してやろうと思った。直ぐに、ほんの少しの理性を取り戻した。
多分このままいたら本当にまずいから、部屋を後にする選択をしたってわけだ。
顔を赤らめて動揺した顔をしている早織が目に入ったけど、見て見ぬふりをしないと気がおかしくなりそうだった。
「じゃあね」
ばたんと扉を閉めて自分の部屋に戻る。スマホを取りだして、『今から会お』って。ちょうど連絡が来てた女に返信して。
ほんとに最低だって自分でもわかってるけど、こうするしかないんだ。もしあそこで再婚なんかしなかったら、普通に早織と出会えてたら良かったのにって死ぬほど思った。
それでも何も変わらない現実に嫌気がさす。いっそのこと離婚しちゃえばいいのにって思ったこともあった。そんなことしたら二度と近寄れないかもしれないけど。もし、そうなったとしても早織を探し出して、手篭めにしてやるけど。
***
連絡した女はすぐに待ち合わせ場所にやってきた。いつものホテルで済ませることにして、ホテルへ向かう途中は一切女の顔なんか見なかった。
ホテルについて、すぐにベッドに押し倒す。そんな時も考えてるのは早織の事だけ。もし、この女が早織だったらって置き換えて抱くんだ。そうすれば少しだけ愛を持って女を抱ける。
「このこと、学校では誰にも言っちゃだめだからね」
「わかってるよ?」
決まって事後はそう言う。もし誰かに話したらもう二度と抱かないからと付け足して。
そう言うだけで女は直ぐに言うことを聞いてくれるからありがたい。