第5章 恋人 - 定義と認識 2*
八神邸(目黒)の家。
地下…トレーニングルーム
一階…会議室、調理場、ダイニングルーム
二階…静の私室、ゲストルーム
三階…ゲストルーム、従業員用の部屋
ランチをとりながら、静が目黒の家の構造を簡単に説明をしてくれた。
外に繋がる壁一面がガラス窓になっていて、そこからは爽やかな秋空が望め、季節をあらわすカエデや、手前にはナナカマドなどが植わっている。
素朴で飾り気などまるで無い、けれどおおらかな地元の自然を思い出した。
洗練されたこことは真逆だ。
陽光が降り注ぐなか、これも同じように優雅でスマートな男性が透子の目の前でティーカップを傾けている。
食事が済むと、給仕の人がダイニングから去っていき、残った青木さんが透子にもお茶を淹れてくれた。
出ていく際に、チラリと自分を見た給仕の女性の目つきがなんだか気になった。
「食事が終わったら………」
メイン料理の鶏肉はマスタードのソースだったろうか。
ホテルのレストランのような場所でホテルみたいな食事────思えば地元では自炊をし、白井の家ではそうでは無かったが、両方一人きりの狭い部屋の中での飲食に慣れていた。
こんなものは全く不慣れで、味がよく分からなかった。