第3章 自立（と調教）への一歩は王子から*

「そんな…こと、ない…」

「フ……素直じゃないな…まあいい。 体に聞いてやろう」

半開きに口を開けて細かい呼吸を繰り返す透子に、静は迷う隙を与えなかった。

「やっ…っあっんやっっ…わ、たし…っ」

細かに慄く内部に、ぶちゅぶちゅ音を立て指先の杭が打ち込まれる。
反面、表面の花芽を柔らかく潰す静の動きは穏やかなものだった。
まだ快楽を知り始めたばかりの性感帯は、包皮越しに刺激するだけでも充分過ぎる反応を示していた。

「透子……そのまま」

微かに抗おうとする透子の膝を静が割り、愛撫の出口へと導く。
やがて出し入れを繰り返していた指が腟内のある一点を緩やかに責めていく。
指の腹で滑るように突き上げる。
それは緩慢でもどかしくもあるが、徐々に徐々に、一つの大きな快感に束ねられていく。

「…んっ───ッ！」

ビクン、と激しく硬直した透子はこの時初めて絶頂を知った。
卑猥にヒクつく内部を、静の指先が撫でていた。 体が弛緩を繰り返し、それが完全に止むまで。

「は、ふ…っ……ぅ」

「ちゃんとイケたな」

こんなになってるのは自分なのに、ぼんやりした様子の透子が横を向き、視線を絡ませた静は眉を寄せ、口許を綻ばせて────なぜだか満ち足りたような表情をしていた。

「……かわいかった。 慣れたら達するときはそう言ってくれると嬉しい」

惚けた様子の彼女に対し静がちゅ、とこめかみや頬にキスを落とす。

「で…でも…こんなの……喋れ、ません」

「そのうち出来る。 それで、今晩の仕置きの意味は分かった？」

透子を知りたいと言った静。
そして会うたびに違う顔を見せる彼を自分も知りたいと思う。

「は、い……あとからブロックを解除しておきます」

「Good girl（いい子だね）.」

そう言って再びこめかみに口付けてくる静の発音はさすがだと思った。