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琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第16章 大人の遊戯*



本人から聞いていたし何となく分かってはいたものの。

「お野菜も、チーズのパンケーキも美味しいです」

バスケットに入っているのは程よい色に焼かれた薄い生地の、二種類の味のパンケーキ。
砂糖の入っていないこれはハムやたっぷりの野菜と一緒に食べるものらしい。

「紅茶のお代わりはどうだ?」

「いただきます」

青木のように優雅な手つきでソーサーを持ちポットからお茶を注いでいる静は料理などもなかなかの腕前である────しかもちょっとお洒落な感じの。

「ん………宅配かな。 見てくるが、それを食べたら出かけよう。 せっかくいい天気だし」

チャイムの音で戸口に足を向ける彼を見送り、主に茶色の和食しか縁のない透子はほんの少しだけ面白くない気分になった。
今朝の事をまだ根に持っているのもある。

本日は丸一日ゆっくり休暇を過ごせる予定だ────その間どうにかして彼を見返してやれないものだろうか。
「キミの替えの服などを多少。 目黒の桜木に頼んでおいた」などとスマートに透子に渡してくる静もこれまたパーフェクトである。

「………ありがとうございます」

どこかしょんぼりと浮かない顔でお礼を言い脱衣場に向かう透子を、静が不思議そうに見ていた。




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